福山市 多治米町 の内科・循環器内科 谷口ハートクリニック

谷口ハートクリニック

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減塩療法

高血圧と塩分

塩分を摂りすぎると血圧を上げる大きな原因になります。特に日本人の食塩摂取量は世界の国々に比べて高いことがわかっています。塩分の摂りすぎはガンや脳梗塞・腎臓病のリスクを高めてしまいます。過度な飲酒、不規則な食生活、運動不足は高血圧だけでなく、肥満の原因にもなります。

一般的な人の1日あたりの塩分摂取量目標値 男性:8g , 女性:7g
高血圧学会の1日あたりの塩分摂取量の推奨値 6g未満
腎臓病患者の目安 3~6gが理想

(日本高血圧学会「高血圧の予防のためにも食事制限を」 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より引用)

1日6g未満に控える必要がある人

*高血圧の人
*本人が高血圧でなくても、家族(親、兄弟姉妹)
 などに高血圧の人がいる
*脳卒中を起こした人
 (または家族に脳卒中に罹った(かか)人がいる)
*糖尿病の人
*肥満の人
*心臓・腎臓に病気を持つ人

食生活は主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを

主食

ご飯 麺類 パン
主食は塩分ゼロの白米がおすすめ
佃煮、梅干し、漬け物は食卓のうえに置かない
パンは菓子パン、惣菜パンより食パン
麺類、味の付いたご飯はそれぞれ週1回
*食べ過ぎによるカロリーオーバーは肥満を招き、高血圧の原因となります

主菜

魚 肉 卵 大豆
魚は生が基本で、干物は控える
魚卵は控える
肉の脂身、内臓、皮は控えめに
付け合わせの野菜は、ドレッシングではなく柑橘類のしぼり汁をかけて塩分ゼロに
*魚や肉、大豆製品などのタンパク質を摂取して血管を丈夫にしましょう

副菜

野菜 きのこ類 いも類 こんにゃく 海藻
汁物は1日1回、具だくさん
ウインナー、ちくわなどは使わない
野菜料理は1食1~2品目
野菜全体の1/3は緑黄色野菜を
酢の物は出来れば1日2回
*減塩は食事療法の中心です!まずは塩分を控えましょう

減塩のコツ

  1. 薄味に慣れる
    醤油や塩は使わずに出汁(だし)や新鮮な食材を使うことで薄味に慣れる必要があります。実際に減塩生活を始めると、1-2週間もすれば舌が慣れてきて、お菓子や市販のお惣菜などの味を濃く感じるようになります。
  2. 漬け物・汁物の料理に気を付ける
    漬け物はなるべく控えましょう。お汁の味付けは、塩は極力控えて出汁(だし)と食材で薄めに作り、飲まないようにしましょう。全て飲んでしまえば減塩の意味がありません。
  3. 効果的に塩味を使う
    料理全体の味付けではなく、食材の表面にだけ塩をふれば少量で塩っけを感じるので、減塩に繋がります。
  4. かけて食べずに「つけて」食べる
    例えば醤油やソースなどを料理にそのままかけてしまうとかけ過ぎなど、どれだけ食べたかわからないので、小皿にとって少量の調味料を「つけて」食べる方が好ましいです。
  5. 酸味、香辛料、香り、香ばしさ、油を使う
    レモンやすだちなどの柑橘類やお酢、唐辛子や胡椒、ハーブや煎(い)った胡麻、ごま油やオリーブオイルなどを使えば、塩分が少なくても料理の味はそれらの風味でカバーできます。
  1. 酒の肴に注意する
    酒のおつまみなどの味が濃いものには、塩分が多く含まれていることが多いです。また、外食やお総菜はかなり濃口に味付けされていることが多いので、控えめが好ましいです。
  2. 練り食品、加工食品に気を付ける
    練り物はもちろん、ハムやベーコンなども塩分高めなので、パン(パンにも塩分が多く含まれている)と一緒に食べるときは注意しましょう。
  3. 食べ過ぎないようにする
    どんなに減塩食に切り替えても、食べ過ぎてしまえば意味がありません。食べ過ぎを防ぐ方法としては、1)ゆっくりと食べる 2)よく噛んで食べる 3)いろいろなものを少しずつ食べる、ことが効果的です。また、家族や仲のいい友人と話をしながら食べると、思ったより食べられないことがありませんか?

厚生労働省「塩分を控えるための12ヶ条」より引用

食品に含まれる塩分量

食品名重量(g)めやす塩分(g)
食パン601枚0.8
ロールパン301個0.4
クロワッサン401個0.8
ゆでうどん2401玉0.2
ひやむぎ乾40・ゆで1000.8
食品名重量(g)めやす塩分(g)
たくあん303切れ1.4
梅干し10大1個2.1
福神漬け30大さじ12.2
らっきょう漬け205個0.5
昆布佃煮20大さじ11.2
のり佃煮20大さじ12.2
味付けのり31束0.2
食品名重量(g)めやす塩分(g)
塩鮭1001切8.1
あじ干物801尾2.4
しらす干し10大さじ11.2
ししゃも453尾0.5
かまぼこ405切1.1
ちくわ301本0.7
たらこ251/2腹2.3
いか塩辛20大さじ12.3
魚肉ソーセージ301/2本0.9
ロースハム201枚0.6
ベーコン201枚0.4
ウインナー(赤)151本0.4
シーチキン40 0.4
スライスチーズ201枚0.6

ナトリウムを追い出すカリウムを摂取

野菜と果物には、余分な塩分の排泄を促し血圧を下げる効果のあるカリウムが豊富です。その他マグネシウム、食物繊維を含む野菜、果物の摂取も降圧効果が期待できるとも報告があります。

注意
腎障害(高カリウム)・糖尿病(カロリー増加)、ワーファリン服薬中(ビタミンK)の方には、体にいいとされている野菜・果物については注意が必要なので、スタッフにご相談ください。

減塩をすすめる事で、様々な病気の予防にも繋がります。
これらの基準を参考に日頃の食生活を見直すきっかけとしてはいかがでしょうか。

塩分に関してのQ&A

Q

高血圧に対する薬を内服しているけど減塩は必要なの?

A

食生活などの生活習慣の修正だけでは血圧が下がらない場合、高血圧の薬の処方があります。塩分を制限している方が薬の効果は高まりますので、「高血圧の薬を飲んでいるから減塩しなくても大丈夫」というのは間違いです。食生活を見直すことでお薬の量が減るかもしれませんので、減塩に取り組んでみてはいかがでしょうか。

Q

薄味の食事を摂っているつもりだが、血圧が思うように下がらないのはなぜ?

A

納豆についているお醤油を全て使っても味が薄いと感じたら、普段から濃い味に慣れていると言われています。例えば味付けは醤油を「かける」ではなく「つける」など現在の習慣を変えてみてはいかがでしょうか?詳しくは「食生活は主食、主菜、副菜を基本に食事のバランス」を参照にしてみてください。

Q

いままで味の濃い食事をしてきたけれど、今から減塩を始めても効果はあるの?

A

はい。塩分の取りすぎや食べすぎなどからくる肥満などは生活習慣病のリスクを引き上げてしまう傾向にあるので、今から取り組んでいくことでリスクを下げることは難しくても抑えることはできます。また、減塩は一人で始めるものではなく、ご家族全員で取り組んでいくものです。親が濃い味を好んでいると、自然と子も、またその子も、濃い味付けを好んでしまう傾向にあります。これを機に少しずつ減塩に取り組んでみてはいかがでしょうか。

Q

いつも薄味の食生活だけど、血圧が高いことが気になる。なにか他の原因が関係しているの?

A

日本人のほとんどは、本態性高血圧といって、高血圧の原因がはっきりしません。元々高血圧になりやすかったり、塩分を摂りすぎてしまったり、加齢、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどで発症することがあります。
残り10%は二次性高血圧といって、何らかの疾患が原因となる高血圧です。腎機能の障害や腎血管の狭窄、副腎腫瘍、薬剤により発症することがあります。この中には減塩しても症状が改善されない場合があるのでご相談ください。